年末年始は原則として休業期間でしたが、今回は緊急カウンセリングのご依頼を受け、対応することになりました。相談に来られたのは、限界に近い状態の中で業務を続けてこられた方でした。年末は業務量の増加、責任の集中、人員不足などが重なりやすく、「気づいたときには心身が限界に近づいている」というケースが少なくありません。特に真面目で責任感の強い方ほど、周囲に不調を見せず、無理を重ねてしまいます。
今回のカウンセリング
・現在の症状がどのような経過で生じてきたのか
・業務環境や役割の中で、どこに負荷が集中していたのか
・今後、どの点に配慮すれば再発を防げるのか
を整理し、言語化していきました。
面談後、クライエントの方から次のような言葉をいただきました。「お休みのところ本当にありがとうございました。勇気を出して来て本当に良かったです。症状の原因が腑に落ち、来年に何をすれば良いかが分かりました。希望を感じながら新年を迎えることができます。」
この言葉は、心理支援が「問題解決」以前に、理解と見通しを提供する支援であることを改めて示していると感じました。
メンタル不調は、本人の弱さによって起こるものではありません。
多くの場合、「環境」「役割」「期待」「責任の偏り」が長期間にわたり重なった結果として現れます。原因が整理されずにいると、不調は長期化し、休職や離職につながるリスクも高まります。一方で、早い段階で専門的な外部相談窓口につながることで、
・重症化の予防
・本人の自己理解の促進
・職場復帰や就労継続への見通し形成
が可能になります。今回のケースも、「限界を超える直前」での支援介入だったからこそ、新しい年を希望とともに迎える準備が整いました。
年内最後のカウンセリングを終えて
年末年始は、職場の支援体制が一時的に薄くなりやすい時期でもあります。だからこそ、外部相談窓口の存在と、早期につながれる仕組みが重要になります。今年最後の心理カウンセリングは、企業におけるメンタルヘルス対策の本質を、あらためて実感する機会となりました。来年も、働く人が安心して立ち止まり、整理し、再び前を向けるよう、企業・組織の皆さまと連携しながら支援を続けていきたいと考えています。